コラム『BROSENT知恵袋Vol.69ビスポークって実際どうなんですか?from本間』

 

こんにちは、BROSENTの清水です。

皆さんの靴に対するお悩みや質問にお答えする『BROSENT知恵袋』。

本日は本間君からの質問です。

『ビスポークって実際どうなんですか?』と言うご質問にお答えします。

 

ビスポーク、元々は『been spoke for』、『何々さんとお話ししながら』みたいな意味の言葉から派生したと言われた言葉です。

文字通りお客様と話しながら商品を承ることを言います。

靴でいうと木型、デザインなど何の規制もなしに作る方法を指します。

日本ではハンドソーン製法で作られると考えられがちですが、海外ではブラック(マッケイ製法のこと。海外ではマッケイ製法とは言いません)で作るメーカーもあります。

 

そのビスポークについて先日本間君から物凄くざっくりした質問をされました。

 

 

本間『ビスポークって実際どうなんですか?』

 

 

と言われましても。。。

私も前職時代の仕事柄お付き合いもあり何度か作ったことがありますし、何よりビスポークメーカーの方と話す機会も結構あったので分かる範囲でお話ししたいと思います。

今回はハンドソーンで作られているビスポークに絞ってお話します。

 

価格は大体40万円台から始まるところが多いようです。

インポートだと100万するものも!!

仮に国内で同じくらいのレベルの素材を使って同じように作ったとしましょう。

工場製の既成靴とはまたちょっと違うかもしれませんが、工場出しの価格を計算しやすいように定価の30%としましょう。

400,000円×30%なので約120,000円ですね。

一般の革靴の関税が21.6%位なので計算すると120,000円×21.6%で、約26,000円が関税となります。

で送料を10,000円としましょう。

あれ?。。。かなりざっくりした計算ですが。。。どう考えても。。。100万は。。。取りすぎですね。。。

 

とは言えやはり国内で作ったとしてもビスポークは高いんです。

現在では流石に40万、50万のビスポークだけでは販売に限界があるので、BROSENTと同じようになイージーオーダー的ラインやレディメイドを用意している所も結構あるようです。

 

で、ビスポークなんですが、以前私がまだお店で販売していた時代。。。もう四半世紀くらい前ですが。。。常連のお客様でイギリスの某有名ビスポークメーカーの靴をオーダーした方がいらっしゃいました。

オーダーは国内の某ショップにてオーダー会と言う形でされたとのこと。

『今日2足目の引取りなんだ。1足目が大きくてさぁ。。。』と仰られていました。

引き取った帰りにまた立ち寄っていただいたんですが。。。

 

『どうでした?』と聞いたところ、

『また大きいんだよ。そしたらさぁメーカーの人が「革のインソールを入れればOKです。革だから中底と一緒に馴染むからOKOK!!」』と言われたそうです!(笑)

当時で40万位だったと思います。

木型から作ってその値段出して合わない上にインソールで調整とは!?笑える。。。失礼!可哀そう!!と、当時の私は思いました。

 

ですが、その後仕事の内容が変わり、イギリスやフランス、イタリア、日本のビスポークメーカーさんたちと色々な話を聞いている内に上の内容は『半分はしょうがない、半分はひどい』と言うことが分かってきました。

 

まずは『しょうがない』から。

ビスポークは1足目、2足目でバッチリ合わないのはしょうがないみたいです。

ましてや仮縫いが無かったらかなりの確率で合いません。

仮縫いをやっても合わないことだってあります。

受注した時の時間や、ご自身や採寸者のコンディションの違い。

そもそも同じ木型を使っても、限りなく近いものは作れますが、寸分と違わない物って作れないんです。

イタリアの某ビスポークメーカーの方や、フランスでBとかAとかのビスポークを担当していた方が同じことを言ってました。

 

『1足数十万するけど、1足2足授業料だと思って諦められるくらいお金のある人以外ビスポークはするもんじゃない』

 

だそうです。

 

私も過去何足か作ったことがあります。

 

最初は海外メーカーでした。

 

 

これが1足目。

結構大きかったです。

靴屋さんが結構細かいこと言ったんですが、ダメでした。。。(T_T)

 

 

同じところで作った2足目。

前回の反省を踏まえ、1足目で合わなかった部分をかなり突っ込んで調整して、ようやく上手くいきました。

靴の知識を持った靴屋が相当細かく指示を出さないと難しい、と言うことがお分かりになったと思います。

 

話は変わりますが、足の幅が広い方が採寸だけして、デザインだけ決めて注文すると物凄くぶっさいくな靴が完成します。

なるべく細く見えるような木型の工夫まで話せればですけど話しておいた方が良いでしょう。

 

その後国内でも作ったんですが、こちらはそれまで作った時に反省を踏まえ。。。『お前うざいな(知り合いなのでそうは思っていないはずです。。。(;^_^A』と思われるくらい『あぁして、こうして(デザインじゃなくて木型に関してですよ)』と口を出して作ってもらいました。

 

 

お陰様でほぼ完璧に仕上がりました。

 

と、この位気合入れてやらないとダメ、ということなんです。(もちろん全部が全部ではないと思いますよ)

 

前述した海外メーカーでのビスポークですが、こちらはそのメーカーさんと言うよりは販売を行っているショップさんがいけないですよね?

お客様も靴のプロではありませんし、『1足目からきちんと合うとは限りませんよ~。2足目以降から修正、修正を続けて完成に近づけていきましょう』とはっきり言わないまでもそれなりのことを事前にお伝えしないと。。。

そりゃ40万出して『インソールで調整』じゃ痺れますよ。

インソールの調整は理論的には問題ないんですが、気持の問題だと思います。

 

と言うことで本日の答えは。。。

 

 

『あくまで私見ですが、ビスポークはお金と時間と心に余裕があって、ある程度知識がある方じゃないとお勧めできない。。。かな?それと、信用できてきちんと話せる方がいらっしゃる所で注文しましょう』

 

 

てな感じですかね?

こんな感じでどうかな?本間君?

 

 

 

ではでは。。。

 

 

 

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