こんにちは、BROSENTの清水です。
皆さんの靴に対するお悩みや質問にお答えする『BROSENT知恵袋』。
本日は『カントリーシューズに使われているウェルト』についてのご質問にお答えします。
本日のご質問はこちら。
『最近トリッカーズなどのカントリーが気になっています。御社でのオーダーも気になっているのですが(ありがとうございますm(__)m)、一つ質問があります。ネットで調べるとトリッカーズの靴はストームウェルトと言うウェルトを使っているようですが、御社のサイトを見るとスプリットウェルトと言うウェルトを使用しているとのこと。これは同じものなのでしょうか?』
これはまたマニアックな質問ですね~。。。(;^_^A
了解しました!
まず、ウェルトって分かりますか?
ウェルトとは。。。
これのことです。
因みに黄色線より上がウェルトで、それより下はアウトソール=本底です。
2つのパーツが重なり合っていると言うことです。
合体させる前は。。。
このような紐のような形状をしています。
続いてウェルトの種類から解説していきましょう。
一般的な靴は。。。
このような形状をしており、『フラットウェルト』などと呼ばれます。
断面図で見ると。。。
こんな感じで平たいバーのような形状をしています。
これにアッパーを。。。
こんな感じで付けます。
正確に言うともうちょっと複雑なんですが、分かりやすく簡単にしました。
で、次が問題のことろ。
BROSENTのオーダーでも選べる『スプリットウェルト』です。
『リバースウェルト』とも呼ばれます。
見た目は。。。
こんな感じです。
ウェルトとアッパーに間に壁が立っているように見えますね?
この壁、実はウェルトと一体となっており。。。
元々はこんな形状をしています。
図では隙間が開いていますが、厳密には切れ目になります。
これを。。。
こんな風にグイっと持ち上げて、アッパーを付けます。
これが壁の正体です。
そしてトリッカーズなどでよく使われるのが『ストームウェルト』と呼ばれるウェルトです。
これ実は『スプリットウェルト』と見た目は似ているんです全く異なるウェルトです。
見た目は。。。
こんな感じです。
見た目は確かに『スプリットウェルト』と似ています。
壁もちゃんとあります。
ですがこの壁良く見てみて下さい。
違い分かりますか?
並べて見比べてみましょう。
左の『スプリットウェルト』の壁が角いのに対し、右の『ストームウェルト』の壁は角が丸まっています。
これどうなっているかと言うと。。。
こんな感じで最初から丸い壁が出来てるんです。
これに。。。
こんな感じでアッパーに付ける訳です。
トリッカーズでは『バーブワーウェルト』とも呼ばれていました。
『バーブワー』ってアメリカのウェルトメーカーです。
そこのウェルトだからそう呼んでいたんだと思いますが、何故この形状だけそう呼んでいたのかは知りません。。。(-_-;)
トリッカーズは『スプリットウェルト』と『バーブワーウェルト』両方持っていて、どちらでも生産可能です。
因みにBROSENTの靴に使われているウェルトも『バーブワー』製のものです。
で、何でカントリー系の靴に『スプリットウェルト』や『ストームウェルト』を使うかと言うと。。。
皆さん革靴を履いて雨に降られた時靴下が濡れたことありますよね?
あれって水どこから入って来ていると思います?
底面から染みてきていると思っていませんか?
BROSENTやトリッカーズのようにグッドイヤー製法の靴の場合、アウトソールからインソールまでにはかなりの厚みがある為そう簡単には水は入ってこれないんです。(だからちょっとの雨ならレザーソールでも全く問題はありません)
実は上の写真のようにアッパーとウェルトの間から侵入して来ているんです。
これを『スプリットウェルト』や『バーブワーウェルト』にすることで。。。
こうやって壁で水をはじき返すことが出来るのです。
なのでカントリーシューズはこのようなディティールをしていることが多いのです。
一般的には『ストームウェルト』より『スプリットウェルト』の壁の方が高さがあるので、雨へのディフェンス力は高くなります。
何となくお分かりいただけましたでしょうか?
と言う訳で本日の答えは。。。
『カントリーシューズでは『スプリットウェルト』や『バーブワーウェルト』は鉄板のディティールです。見た目は似ていますし、付けている理由も同じです。ただし形状が異なるので、同じ物ではございません。』
と言うことです。
あと。。。BROSENTの靴の方が絶対に履き心地良いですよ!!
理由は。。。ここでは言えないのでお店に聞きに来てください。。。m(__)m
ではでは。。。
引き続きお悩み、疑問、質問を受け付けていきますので、是非お気軽にご質問下さい!!
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BROSENT知恵袋に質問です、みたいな事を書いておいてください。
あとお名前は出しませんのでご安心ください!
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N (土曜日, 10 7月 2021 07:40)
リバースウェルトと呼ばれるものにはステッチがあったりしますが、あれはノルウィージャン製法のようにアッパーと縫い合わせているのでしょうか?
BROSENT (土曜日, 10 7月 2021 11:46)
N様、コメントありがとうございます。
スプリットウェルト=リバースウェルトやストームウェルトはあくまでウェルトの名前で、製法の名前ではありません。
極端に言うとスプリットウェルトを使ったセメンテッド製法(セメントの場合はウェルト使わないので、ダミーにはなりますが)なんて靴もあるかもしれません。
そうなると出し縫いはかかっていません。
ノルウィージャン製法は簡単に言うとスプリットウェルトの立っている部分をアッパーと縫い付け、強度を上げた製法です。
なのでウェルトに見えるステッチは本底を縫い付ける出し縫いとアッパーへの糸、2本となります。
アッパーに穴開けちゃうので糸を通して中に水が浸入しやすくなるんじゃないか!?と思ったりもしますが。。。
因みに当店の靴でリバースウェルトを使った場合はグッドイヤー製法なので本底を縫い付けるステッチ1本のみとなります。
それでは失礼いたします。