こんにちは、BROSENTの清水です。
最近染替え、と言うより染直しのご依頼を多く承っております。
その中に皆さんご存知のコードヴァンが結構な頻度で混ざっております。
今回はそのコードヴァンの染直しについてのお話です。
革の色付けには大きく分けて2種類の方法がございます。
一つは染料仕上、もう一つは顔料仕上です。
どちらが良いと言うものではなく一長一短がございます。
比較してみましょう。
≪染料仕上げ≫
・革本来の雰囲気が生かせる(長)
・綺麗なムラ感が出せる(長)
・手間がかかる為大量生産品に向かない(短)
・技術が必要で、1足1足微妙に色合いが異なる為大量生産品に向かない(短)
≪顔料仕上げ≫
・高い技術はいらないので大量生産品に向いている(長)
・べた塗りなので色ブレが起こりにくい(長)
・革の表面を顔料が覆ってしまうため、プラスティックのような表情になってしまう(短)
・革の表面に吹き付けてある為、剥がれてくることがある(短)
長所、短所を見ると一見【染料=高級靴】【顔料=安価靴】のようにも見えますが、そうとも限りません。
例えば。。。
ご存知英国王室ご用達メーカー≪Tricker’s(トリッカーズ)≫の代表的素材≪Gorse(ゴース)≫は顔料仕上げです。
またどんな高級ブランドでも白は100%顔料です。
このようにケースバイケースで顔料も高級靴に使われているんですが、最近では高級素材コードヴァンにも使用されているようなんです。
ちょっと分かりづらいですかね。
これならどうでしょう?
ヴァンプ(甲部)にご注目下さい。
白っぽくなっているのがお分かりになるでしょうか?
これ、コードヴァン特有の履きじわが白くなるのとは別物です。
アップで見てみましょう。
ちょっと分かりづらいかもしれませんが、明らかに色が剥がれてしまっています。
ですが実は右足はまだ良い方で、もう片足は。。。
汚れ落しを使ったら色が完全に落ちてしまったとのことです。
あいた~!!ですね。。。(T_T)
ほぼ新品ですよ。。。(T_T)(T_T)
と言う訳で、お靴&お客様を救済すべくBROSENTが立ち上がります!!
まずは落とせるものは落としちゃいます。
と言いますか、表面に顔料が残っていると染料が弾かれちゃうんです。
で全体的に顔料を落としてみたんですが、何故か極端な色落ちは左足のつま先のみでした。
理由は不明です。
全体の顔料が落ち終わったら染めていきます。
色は色落ちしていない部分に合わせます。
その際つま先部分だけ染めるとそこだけ浮いて見えてしまう可能性があるので、靴全体を染めていきます。
そうすると色落ちした部分と、落ちていない部分の境目が分からなくなり、綺麗に染まります。
両足とも染まりました!
ですがこれではまだ染めが弱いので、この作業を複数回繰り返し、完全に染めていきます。
染め終わったらクリームを入れます。
そうするとあら不思議、あれだけマットだった表面にコードヴァン独特の光沢感が戻ってきました!!
最後に。。。
お化粧でトゥにポリッシュを入れて。。。
完成です!!
どうですか?
ほぼ新品同様に戻りました!!
しかしコードヴァンにも顔料を使用するとは時代も変わりました。
昔はこんなことなかったです。
推測ですが、コードヴァン自体の生産量の低下と、小型化が原因ではないかと思います。
革は天然のものですから、傷もありますし、1枚1枚同じ色には染まってくれません。
コードヴァン自体が小型化してきているので、微妙に色が異なる革を複数枚使わなければ靴は作れません。
特にこの靴のようにパーツが多い靴だと、色ブレが目立ちます。
また多少傷が付いていても生産量が少ないので、もったいなくて(コストダウンも含め)捨てられません。
使うしかないのです。
これらの色ブレや傷を誤魔化すためにやっているのではないでしょうか?
顔料で全体の色を統一してしまおうと。。。
剥がれない時は剥がれないですし。。。
致し方ないような気もしなくはありません。。。
多少の傷や、色ブレはコードヴァンの証じゃい!!って思って頂ける方だけなら良いのですが、そうもいきませんよね?
靴メーカーの気持ちも分かりますし、色落ちしてしまったお客様の気持ちも分かります。
そんな時は!!
BROSENTに是非ご相談くださいね!!
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