こんにちは、BROSENTの清水です。
毎日雨続きで嫌になりますね。。。
ところで皆さん雨用の靴ってご用意なさってますか?
合成皮革を使った安い靴でも良いのですが、お洒落さんの足元を飾るにはいささか役者不足です。
今回は雨用に買うなら、もとい作るならこんな靴が良いですよ~、と言うお話です。
≪ソール≫
これは言わずもがなラバーソールがベストです。
特にダイナイトやヴィブラムなどのスタッズタイプのソールは厚みがあまりないためドレッシーさが保たれます。
ドレスシューズに適したラバー部材です。
この辺りを選んでおけば間違いないでしょう。
でもただラバーソールを選んでおけば良いってものではありません。
実は肝心なのは製法です。
≪製法≫
靴の製法には大きく分けて3つの製法があります。
1)セメンテッド製法 アッパーとソールを接着剤で張り付けただけの製法
2)マッケイ製法 インソールとアウトソールを縫い付けた製法
3)グッドイヤー製法 アッパーとインソール、ウェルトと呼ばれるパーツを一度縫い、ウェルトとアウトソールを縫い付けた製法
今回はきちんとアッパーとソールを縫って作ってあるマッケイ製法とグッドイヤー製法に絞ってお話します。
が、文章で書かれても今一つ分かりませんよね。。。(;^_^A
では図解を。
左がグッドイヤー製法で、右がマッケイ製法です。
さてここで問題。
この2つの製法、どちらかが雨に強く、どちらかが雨に弱いんです。
図を良く見て下さい。
両製法とも底面に糸が出ているのが分かると思います。
その糸がどこに出ているか?これが問題です。
グッドイヤー製法は底面に出ている糸を辿ると、コバと言われるパーツの上面に繋がっています。
つまりは靴の外側に出ている訳です。
一方マッケイ製法はどうでしょう?
底面に出ている糸を辿ると。。。靴のインソール、つまり内部に繋がっています。
外部に繋がっているグッドイヤー製法と内部に繋がっているマッケイ製法。
答えは分かりましたね?
雨にはグッドイヤー製法の方が強く、マッケイ製法の方が弱いんです。
マッケイ製法は糸を通って水分が内部に直接侵入しやすいと言う弱点があります。
もちろん縫い糸にはワックスをかけたり、水を含まないナイロンの糸を使う事もありますが、縫うために穴を開けなければならないので完全ではありません。
ラバーソールでも糸を通って入って来られては防ぎようがないのです。
『でも靴を見ただけじゃ素人には製法は分からないよ』と思われるかもしれませんが、これ意外と簡単です。
確かに見抜きにくい場合もありますが、この基本さえ押さえておけば大概は見分けられます。
上の写真はグッドイヤー製法です。
グッドイヤー製法は基本コバと言われる部分に糸が出ています。
ここに糸が出ていたらまず間違いなくグッドイヤー製法です。
裏側の糸を隠して縫う、ヒデュンチャネルと言う仕様もありますが、コバに糸が出ていたらまず間違いなくグッドイヤー製法です。
一方マッケイ製法は糸がインソールに出ています。
例外が無くはないのですが、ここに糸があればまずマッケイ製法と判断して問題はありません。
ブランド名などの刻印が印刷されている中敷きが、全敷きと言われるつま先まであるタイプだと、中を見ることが出来ませんが、上から触れば何となく糸があるかないか分かると思います。
こちらもグッドイヤー製法同様底面の糸が出ている場合と隠している場合があります。
≪素材≫
ぶっちゃけて言うとエナメルが最強です。
ですがちょっとビジネスには厳しいですよね(;^_^A
ではスエードはどうでしょう?
『スエードって雨に弱いんじゃ?』
いえいえ、決してそんなことはありません。
むしろ強いです。
上の図を見比べてみて下さい。
いたずら書きみたいな図でスイマセン。。。m(__)m
左がカーフ、右がスエードです。
カーフが雨が直接表面に到達してしまうのに対し、スエードは毛があるため直接表面に届かないのです。
物理的に強いんですね、スエードの方が。
これに防水スプレーをかけておけば結構大丈夫です!!
タイドアップ時などどうしてもカーフを履かなければならない場合は履く数十分前に防水スプレーをかけておいて下さい。
また欧米の人が良くやるんですが、ポリッシュ、所謂靴墨を全体に薄くかけるのも手です。
欧米ではハイシャインよりこちらの方でポリッシュを使い方が多い位です。
雨に強い靴、イメージ湧きましたでしょうか?
雨用に安い靴を1足買うより、普段も履けるお洒落な靴で対応出来た方が何かと便利だと思います。
是非で雨にも履ける普段靴、お作りになってみて下さい!!
BROSENTでは「染め替え」「修理」を郵送でご対応致します。
詳しくは『修理&染替えの郵送でのご依頼』をご覧ください。