コラム『内羽根と外羽根~物には基本がございます』

こんにちは。BROSENTの清水です。。。

ビジネスやカジュアルで皆さんが何気なく履いている革靴ですが、シューレース(靴ひも)部分のデザインが2種類あるのをご存知でしたか?
今回はこの2つのデザインについて少しお話したいと思います。

エスキモーさんの足元
エスキモーさんの足元

革靴は大きく分けて短靴とブーツの2種類に分けられます。
ブーツの歴史は古く『古代ギリシャ』だとか『中世のドイツ』、はたまたネイティブアメリカンや寒冷地に住むエスキモーが最初だとか言われており、要は古すぎて実際のところは良く分かっていません。
恐らくはどこが元祖と言うよりは寒い地域の人たちが防寒の為にそれぞれが工夫して出来た多発的なものだと個人的には思っています。
幕末に初めて日本に入ってきた革靴もブーツでした。
坂本龍馬がチェルシーブーツ(サイドゴアブーツ)を履いて写っているいる写真が有名です。

ちょっと話がそれましたが、今回はもう一方の革靴、短靴の話に戻しましょう。
革靴は短靴とブーツに分けられ、短靴は更に紐靴とストラップ(ベルトで止めるタイプ)、スリッポンの3つに分けられます。
更に紐靴は『内羽根式』と『外羽根式』の2つに分けられます。
この『内羽根式』と『外羽根式』皆さん、気にして履いてらっしゃいますか?
店頭でお話を聞いてみると気にしていなかったり、好き嫌いで履いてらっしゃる方が結構いらっしゃいます。
ではこの2つ、どう使い分ければ良いのでしょう?

 

オックスフォード大学
オックスフォード大学

皆さんが今日履かれている短靴の歴史は意外にもブーツよりも浅く、17世紀英国オックスフォード大学の学生が、ブーツに反対して履き始めたのが最初と言われています。
この時履かれていた靴が『内羽根式』だったと言われ、現在でも『オックスフォード』と呼ばれています。
『内羽根式』とはシューレースを通す穴のある羽根部分の前方がヴァンプ(爪先革)に直接縫い付けられており、履き口がV字に開いて紐で絞めるタイプを言います。
文章で見ても分かりにくいでしょうから、写真をご覧ください。

キャップトゥ・オックスフォード
キャップトゥ・オックスフォード
内羽根式
内羽根式

こちらです。
キャップトゥ(ストレートチップ)系に良く見られるデザインですね。
ドレスシューズの基本のデザインなので皆さんきっとお持ちでらっしゃると思います。
あ!先に答えを言ってしまいました。。。(-_-;)
そう、『内羽根式』はドレッシーなんです。
以前こちらのコラムでも触れたフォーマル度の話を覚えていらっしゃいますか? ※まだご覧になっていない方はこちらをご覧ください。
フォーマルからタイドアップに合う靴のデザインは全てと言って良いくらいこの『内羽根式』なのです。

V字で開く羽根は爪先革が開かないため、調整幅が狭く、足回りが極端に広い足の方にはあまり向きません。
製法にもよりますが、履き始めはV字のトップが1cm前後開いているのが良いと言われています。

 

一方『外羽根式』はシューレースを通す穴がある羽根の部分が、ヴァンプ(爪先革)の上に縫い付けられており、中央部で開いて紐で絞めるタイプを言います。
またまた文章で呼んでも良く分かりにくいでしょうから、写真をご覧ください。

エプロンダービー
エプロンダービー
外羽根式
外羽根式

第12代ダービー伯爵(時代的にはこの人あたりか?)
第12代ダービー伯爵(時代的にはこの人あたりか?)

その起源は1700年代後半にイギリスのダービー伯爵が競馬などの社交場に履いて行ったという説や、1800年代にプロシア(今のポーランドやロシアの周辺にあった国)の将軍が考案したハーフブーツが狩猟用として普及し、後に短靴にも採用されたとする説などがあります。
その為『外羽根式』は現在でも『ダービー』と呼ばれています。 ※馬の鞍に見た目が似ているからと言う説もあります。
さて、もう答えは分かりましたね?
どちらの説を取ったとしても、使用方法はカジュアルです!
『外羽根式』はカジュアル向きのデザインなんです。
その為スエードやコードヴァンなどカジュアル向きな素材との相性は抜群です。
コードヴァンがカジュアル?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、コードヴァンはカジュアル素材です。
欧米の方はスーツには履きません。ジャケットスタイルなど、少しスポーティな装いに合わせる素材なんです。
スーツに合わせてるのは日本人位でしょうか。。。

羽根が上下ともに広がるので、甲部に大分ゆとりを取ることが出来ます。
その為足幅の広い方でも履きやすいデザインと言えます。
『内羽根式』同様製法にもよりますが、1cm程度は開いていた方が良いでしょう。

と、『内羽根式』=ドレス、『外羽根式』=カジュアル、と書いてきましたが、これはあくまでも基本です。
BROSENTでは合わないものを『合いますよ』とは言いません。『これこれこうだから、基本は合わないですよ。ただこれこれこうすれば合いますよ』と言うような、基本を踏まえたアドバイスをさせていただきます。
靴に関する様々なご相談もお受けしますので、是非お立ち寄りください。